今回から数回にわたり、私のセラピーのベースになっているポリヴェーガル理論について書いていきます。
この理論は、身体志向のセラピーの理論的背景となるのでは?と言われている理論です。1994年発表のステファン W. ポージェス博士の研究から始まりました。
人の自律神経は、交感神経系と副交感神経系とに分かれ、健康に重要な役割を果たしていることはよく知られていますね。この自律神経は、自律という文字通り、頭で考えて動かすものではなく、心臓の拍動やホルモン分泌など、自動的に無意識に働いてくれるものです。緊張したときなど、落ち着け!と思っても心臓の動きを自分の意思で調整は出来ないですよね。唯一、呼吸は、自律的であり、自覚的にコントロールできるものです。マインドフルネスやヨガ、自律訓練法などで、呼吸に意識を向けてるのも、そのためです。交感神経系が覚醒や興奮、活動を、副交感神経系がリラックスや休息をするものというイメージをもたれることが多いと思います。
しかし、ポージェス博士が新生児の突然死を研究する中で、副交感神経系の中でも迷走神経系が徐脈をもたらすような働きを持っているとの発見をしました。それを端緒に、交感神経神経系、二つの迷走神経系からなる神経系の作用機序とニューロセプション(安全や危険を無意識に行っている知覚/反応)についての体系的な理論が作られました。同時期に体験的にそれらを捉えていたトラウマケアの研究と実践を行ってきた学者たち(ピーター A. ラヴィーン:SE™️創設者、パット オグデン:SP創設者、ベッセル バン デア コーク:トラウマ一!『身体はトラウマを記録する』著者 ら)との相乗効果で、副交感神経系の多様な働きとトラウマ的な体験をした人が経験する心理的、身体的な症状を神経系からの視点で説明し、トラウマ理解〜治療モデルの発展させる試みがなされてきました。
次回は、交感神経系のお話になります
待ちきれない!という方は、下記の本などをご参照ください
コメント